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特許出願手続き完了

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【耐津波シェルター】
【耐土石流シェルター】
【耐噴石シェルター】
【防爆シェルター】
【防弾シェルター】

特許出願手続き完了のご報告。

従来のアーチパネル式構造物は一般建築物より鋼板の厚みがあり耐候性も高いが、上記のシェルターとしての機能を満たすものではなかった。

そこでダブルアーチ(アウターアーチ+インナーアーチ)を型枠として組み立て、その間にコンクリートを流し込むことでアーチ型RC造となる。

その際、アーチのクリアランスを約100mmにした場合、アーチパネル自体が鉄筋の役目を果たす。

また、RCは両面共に鋼板がハメ殺してあるため本来の耐久性よりも高くなる。

その際、アーチパネルがガルバリウム鍍金ではコンクリートのアルカリで腐食してしまうため、亜鉛鍍金鋼板又はマグネシウム鍍金鋼板を使用することとなる。

整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 1
【書類名】明細書
【発明の名称】アーチ状建築物およびアーチ状建築物の建築方法
【技術分野】
 【0001】
 本明細書で開示される技術は、アーチ状建築物およびアーチ状建築物の建築方法に関す
る。
【背景技術】
 【0002】
 特許文献1は、波形鋼材を波付方向と直交する方向に所定曲率で曲げ加工した波状の壁
部材を波付方向に複数連結し、複数の壁部材が連結された2つの壁部を波付方向に直交す
る天頂部において連結部材で相互に結合することによりアーチ状に形成されたアーチ状構
造体を開示する。このような波形鋼材を組み合わせてアーチ状の建築物を形成する技術は
従来種々知られている。また、建築物の堅牢性の向上のために、このような波形鋼材を組
み合わせて形成されるアーチ状の建築物の外周をコンクリートで被覆する改良技術も知ら
れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
 【0003】
  【特許文献1】実用新案登録第3214540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
 【0004】
 しかしながら、アーチ状の建築物の外周をコンクリートで被覆した構造を採用する場合
、コンクリートが外側に露出することから、長期間の使用時に酸性雨などの要因でコンク
リートが劣化し易いという問題がある。また、設置の際、コンクリートの打設のためにア
ーチ状の建築物の外周に型枠を形成する必要があるが、アーチ状に湾曲した外周に沿って
型枠を形成することは作業負荷が大きいという問題もある。
 【0005】
 本明細書では、長期間の使用時にも劣化しにくく、建築時の作業負荷も従来より小さい
アーチ状建築物を実現し得る技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
 【0006】
 本明細書によって開示されるアーチ状建築物は、長手方向にアーチ状に湾曲するととも
に幅方向に波形状に形成されている金属板製のインナー用パネルを幅方向に連結してアー
チ状に形成されているインナーアーチ構造体と、前記インナーアーチ構造体の外側に前記
インナーアーチ構造体を覆うように配置されているアウターアーチ構造体であって、長手
方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に波形状に形成されている金属板製のアウター
用パネルを幅方向に連結してアーチ状に形成されている前記アウターアーチ構造体と、前
記インナーアーチ構造体と前記アウターアーチ構造体の間のアーチ間空間に充填されてお
り、前記インナーアーチ構造体の外面および前記アウターアーチ構造体の内面に密に接す
るコンクリート構造体と、を備える。
 【0007】
 ここで、コンクリート構造体が「インナーアーチ構造体の外面と密に接する」ことは、
コンクリート構造体が「インナーアーチ構造体の外面と断熱材層等を介して密に接する」
ことを含む。
 【0008】
 上記の構成によると、アーチ状のコンクリート構造体の内面と外面がインナーアーチ構
造体とアウターアーチ構造体とによってそれぞれ支持固定されている。コンクリート構造
体が外部に露出しない。そのため、長期間の使用時に酸性雨などの要因でコンクリートが
劣化することが抑制される。また、アーチ状のコンクリート構造体が、ともにアーチ状の
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 2
インナーアーチ構造体とアウターアーチ構造体とによって挟まれているため、アーチ状建
築物の外周をコンクリートで被覆する従来の構造よりも堅牢性も高い。また、コンクリー
ト構造体は、インナーアーチ構造体とアウターアーチ構造体を形成した後に、インナーア
ーチ構造体とアウターアーチ構造体の間のアーチ間空間に生コンクリートを充填させるこ
とによって形成され得る。その場合、コンクリート打設用の型枠の設置を省略し得る。建
築時の作業負荷も従来より小さくなり得る。
 【0009】
 前記アウターアーチ構造体と前記インナーアーチ構造体との間の間隔を保持した状態で
両者を連結するセパレータをさらに備えていてもよい。
 【0010】
 この構成によると、セパレータによってアウターアーチ構造体とインナーアーチ構造体
との間の間隔が保持される。アウターアーチ構造体とインナーアーチ構造体との間の間隔
がばらつく事態が抑制される。この結果、アーチ状建築物をより堅牢に形成することがで
きる。
 【0011】
 前記インナーアーチ構造体の前記外面と前記アウターアーチ構造体の前記内面は亜鉛メ
ッキされていてもよい。
 【0012】
 この構成によると、亜鉛メッキにより、コンクリート構造体と接触するインナーアーチ
構造体の外面及びアウターアーチ構造体の内面の腐食が抑制される。長期間の使用時のイ
ンナーアーチ構造体及びアウターアーチ構造体の劣化を防止することができる。
 【0013】
 前記インナーアーチ構造体の前記外面と前記コンクリート構造体との間には断熱材層が
さらに設けられていてもよい。
 【0014】
 この構成によると、アーチ状建築物を断熱することができる。建築物内を夏季は涼しく
、冬季は暖かく保つことができる。
 【0015】
 前記インナーアーチ構造体の前記外面と前記アウターアーチ構造体の前記内面との間の
距離は50mm以上200mm以下であってもよい。
 【0016】
 この構成によると、インナーアーチ構造体の外面とアウターアーチ構造体の内面との間
の距離が50mm以上200mm以下の範囲内である。この範囲内であれば、型枠を設け
ることなくインナーアーチ構造体の外面とアウターアーチ構造体の内面との間にコンクリ
ート構造体を形成することができる。またコンクリートの量も少なく済む。
 【0017】
 本明細書によって開示されるアーチ状建築物の建築方法は、長手方向にアーチ状に湾曲
するとともに幅方向に波形状に形成されている金属板製のインナー用パネルを幅方向に連
結することによって、アーチ状のインナーアーチ構造体を形成する工程と、前記インナー
アーチ構造体の外側に、長手方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に波形状に形成さ
れている金属板製のアウター用パネルを幅方向に連結することによって、前記インナーア
ーチ構造体の外側に前記インナーアーチ構造体を覆うように配置されるアーチ状のアウタ
ーアーチ構造体を形成する工程と、前記インナーアーチ構造体と前記アウターアーチ構造
体の間のアーチ間空間に生コンクリートを充填させる工程と、前記アーチ間空間に充填さ
れた前記生コンクリートを固化させることによって、前記インナーアーチ構造体の外面お
よび前記アウターアーチ構造体の内面に密に接するコンクリート構造体を形成する工程と
、を備える。
 【0018】
 ここで、コンクリート構造体が「インナーアーチ構造体の外面と密に接する」ことは、
コンクリート構造体が「インナーアーチ構造体の外面と断熱材層等を介して密に接する」
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 3
ことを含む。
 【0019】
 上記の建築方法によると、インナーアーチ構造体とアウターアーチ構造体を形成した後
にアーチ間空間に生コンクリートを充填させることによってコンクリート構造体を形成す
ることができる。そのため、コンクリート打設用の型枠の設置を省略することができる。
建築時の作業負荷を従来よりも小さくすることができる。また、上記の建築方法によって
完成するアーチ状建築物では、アーチ状のコンクリート構造体の内面と外面がインナーア
ーチ構造体とアウターアーチ構造体とによってそれぞれ支持固定される。コンクリート構
造体が外部に露出しない。そのため、長期間の使用時に酸性雨などの要因でコンクリート
が劣化することが抑制される。また、アーチ状のコンクリート構造体が、ともにアーチ状
のインナーアーチ構造体とアウターアーチ構造体とによって挟まれているため、アーチ状
建築物の外周をコンクリートで被覆する従来の構造よりも堅牢性も高い。
【図面の簡単な説明】
 【0020】
  【図1】実施例のアーチ状建築物1の斜視図を示す。
  【図2】図1のアーチ状建築物1の妻面の断面説明図を示す。
  【図3】図1のアーチ状建築物1の桁行面の断面説明図を示す。
  【図4】図3の一部の拡大断面説明図を示す。
  【図5】コンクリート流し込み穴60の拡大説明図を示す。
  【図6A】アーチ状建築物1の建築方法の説明図(1)を示す。
  【図6B】アーチ状建築物1の建築方法の説明図(1)の他の例を示す。
  【図7】アーチ状建築物1の建築方法の説明図(2)を示す。
  【図8】アーチ状建築物1の建築方法の説明図(3)を示す。
  【図9】アーチ状建築物1の建築方法の説明図(4)を示す。
  【図10】アーチ状建築物1の建築方法の説明図(5)を示す。
【発明を実施するための形態】
 【0021】
(実施例)
 図1~図5を参照して本実施例のアーチ状建築物1について説明する。図1~図3に示
されるように、本実施例のアーチ状建築物1は、基礎2と、基礎2の上に建築される建築
物本体4とを備える。
 【0022】
 基礎2はコンクリート製の基礎部材である。基礎2は建築物本体4の土台およびアーチ
状建築物1の床面としての役割を果たす。基礎2の上面は平坦に形成されており、地上に
露出する。基礎2の大部分は地中に埋設されている。
 【0023】
 建築物本体4は基礎2の上に構築されている。建築物本体4は、インナーアーチ構造体
10と、アウターアーチ構造体30と、コンクリート構造体50と、妻壁80、82とを
備えている。
 【0024】
 インナーアーチ構造体10は、アーチ状(略半円筒状)に形成されている金属板製の構
造体である。インナーアーチ構造体10は、桁行方向(図1~図3のY軸方向)に波形状
に形成されている。インナーアーチ構造体10は桁行方向(Y軸方向)に沿って波打つ蛇
腹形状を有する、と言い換えてもよい。
 【0025】
 インナーアーチ構造体10は、金属板製のインナー用パネル12を幅方向に複数個連結
することによって形成されている(後述の図5、図6A、図6B参照)。インナー用パネ
ル12は、長手方向にアーチ状(略半円弧状)に湾曲するとともに、幅方向(即ち桁行方
向))に波形状に形成されている金属板製の部材である。1個のインナー用パネル12は
一枚のパネルによって形成されていてもよいし(後述の図6A参照)、複数枚のパネルを
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長手方向に接続することによって形成されていてもよい(図6B参照)。各インナー用パ
ネル12は、基礎2上に設けられるベースコネクタ(図示しない)を介して基礎2上に固
定される。図4に示されるように、幅方向に隣合うインナー用パネル12同士は、連結用
ボルト14によって、アーチの内面側から連結固定されている。連結用ボルト14として
は、いわゆるリベットナット(ブラインドナットと呼んでもよい)およびボルトが用いら
れる。他の例では、連結用ボルト14としてその他の連結具が用いられてもよい。
 【0026】
 インナーアーチ構造体10の外面16は亜鉛メッキされている。亜鉛メッキにより、コ
ンクリート構造体50と接触するインナーアーチ構造体10の外面16の腐食が抑制され
る。インナーアーチ構造体10の内面18も亜鉛メッキされていてもよい。インナーアー
チ構造体10の内面18も亜鉛メッキされていれば、建築物本体4の内面の腐食が抑制さ
れ得る。
 【0027】
 インナーアーチ構造体10の外面16上には断熱材層20が形成されている。本実施例
の断熱材層20は、断熱塗料をインナーアーチ構造体10の外面16に塗布することによ
って形成されている。他の例では、断熱材層20は、その他の断熱材(例えば、無機繊維
系の断熱材、木質繊維系の断熱材、発泡プラスチック系の断熱材)をインナーアーチ構造
体10の外面16上に配置することで形成されていてもよい。断熱材層20が設けられて
いることで、アーチ状建築物1を断熱することができる。
 【0028】
 アウターアーチ構造体30は、インナーアーチ構造体10の外側に、インナーアーチ構
造体10を覆うように配置されている。アウターアーチ構造体30は、インナーアーチ構
造体10と同様のアーチ形状を有しているが、インナーアーチ構造体10よりも大径であ
る。アウターアーチ構造体30は、金属板製のアウター用パネル32を幅方向に複数個連
結することによって形成されている。アウター用パネル32は、長手方向にアーチ状(略
半円弧状)に湾曲するとともに、幅方向に波形状に形成されている金属板製の部材である
。1個のアウター用パネル32は一枚のパネルによって形成されていてもよいし、複数枚
のパネルを長手方向に接続することによって形成されていてもよい。各アウター用パネル
32は、基礎2上に設けられるベースコネクタ(図示しない)を介して基礎2上に固定さ
れる。図4に示されるように、幅方向に隣合うアウター用パネル32同士は、連結用ボル
ト34によって、アーチの外面側から連結固定されている。連結用ボルト34としては、
上述の連結用ボルト14と同様に、いわゆるリベットナット(ブラインドナットと呼んで
もよい)およびボルトが用いられる。他の例では連結用ボルト34としてその他の連結具
が用いられてもよい。
 【0029】
 アウターアーチ構造体30の内面38も亜鉛メッキされている。亜鉛メッキにより、コ
ンクリート構造体50と接触するアウターアーチ構造体30の内面38の腐食が抑制され
る。アウターアーチ構造体30の外面36も亜鉛メッキされていてもよい。アウターアー
チ構造体30の外面36も亜鉛メッキされていれば、建築物本体4の外面が雨などにさら
されても腐食され難くなる。
 【0030】
 図1、図3、図5に示されるように、アウターアーチ構造体30のアーチ形状の頂部に
は、複数個のコンクリート流し込み穴60が設けられている。各コンクリート流し込み穴
60は、アウター用パネル32のアーチ形状の頂部に設けられている。図5に示されるよ
うに、コンクリート流し込み穴60はアウター用パネル32を貫通している。コンクリー
ト流し込み穴60には筒体62が取り付けられている。後で詳しく説明するように、コン
クリート流し込み穴60から、アウターアーチ構造体30の内面38とインナーアーチ構
造体10の外面16の間に生コンクリートを流し込んで固化させることにより、コンクリ
ート構造体50が形成される。
 【0031】
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 5
 図4に示されるように、インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30の間に
はアーチ間空間24が形成される。後述の通りアーチ間空間24はコンクリート構造体5
0によって充填されている。インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30の間
には、インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30の間隔を保持した状態で両
者を連結するセパレータ40が設けられている。セパレータ40はインナーアーチ構造体
10とアウターアーチ構造体30を貫通するように設けられるボルトであり、インナーア
ーチ構造体10の内面18側でナットによって係止されている。セパレータ40が設けら
れることにより、インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30の間隔が保持さ
れる。本実施例では、インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30の間にはコ
ンクリート打設用の型枠が設けられていない。即ち本実施例ではインナーアーチ構造体1
0とアウターアーチ構造体30の間には型枠のための鉄筋が設けられていない。
 【0032】
 インナーアーチ構造体10の外面16とアウターアーチ構造体30の内面38の間の距
離は50mm以上200mm以下である。両者の距離がこの範囲内であれば、型枠を設け
ることなくインナーアーチ構造体10の外面16とアウターアーチ構造体30の内面38
との間にコンクリート構造体50を形成することができる。インナーアーチ構造体10の
外面16とアウターアーチ構造体30の内面38の間の距離は両者の距離は100mm以
上175mm以下であることが好ましい。本実施例では、インナーアーチ構造体10の外
面16とアウターアーチ構造体30の内面38の間の距離は場所によって異なっている。
図4の例では、インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30の波形状の上端部
分(山)及び下端部分(谷)同士の間の距離D1は175mmであり、インナーアーチ構
造体10とアウターアーチ構造体30の波形状の途中部分(山と谷の間の部分)同士の間
の距離D2は100mmである。
 【0033】
 また、図4の例では、アウターアーチ構造体30の波形状の上端部分(山)と下端部分
(谷)の間の距離D3は225mmである。図示していないが、インナーアーチ構造体1
0の波形状の上端部分(山)と下端部分(谷)の間の距離も同様に225mmである。ま
た、アウターアーチ構造体30の波形状の上端部分(山)と、インナーアーチ構造体10
の波形状の下端部分(谷)の間の距離D4は400mmである。ただし、本実施例の距離
D1~D4の数値はあくまで一例であり、他の任意の数値が採用されてもよい。
 【0034】
 コンクリート構造体50は、アーチ間空間24に充填されているコンクリート部材であ
る。コンクリート構造体50は、インナーアーチ構造体10の外面16およびアウターア
ーチ構造体30の内面38に密に接している。詳しく言うと、コンクリート構造体50は
、断熱材層20を介してインナーアーチ構造体10の外面16と密に接している。コンク
リート構造体50は、アウターアーチ構造体30に設けられたコンクリート流し込み穴6
0からアーチ間空間24内に生コンクリートを流し込んで固化させることによって形成さ
れる。本実施例では、コンクリート構造体50は、コンクリート流し込み穴60に備えら
れた筒体62内にも充填されている。コンクリート構造体50には、鉄筋製の型枠などは
内蔵されていない。
 【0035】
 妻壁80、82は、アーチ状のインナーアーチ構造体10、コンクリート構造体50、
アウターアーチ構造体30の開放部を閉塞する壁である。妻壁80、82の少なくとも一
方には出入口扉が設けられている。妻壁80、82は例えばコンクリートで形成されてい
る。
 【0036】
 以上、本実施例のアーチ状建築物1の構造について説明した。本実施例では、アーチ状
のコンクリート構造体50の内面と外面がインナーアーチ構造体10とアウターアーチ構
造体30とによってそれぞれ支持固定されている。コンクリート構造体50が外部に露出
しない。そのため、長期間の使用時に酸性雨などの要因でコンクリートが劣化することが
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 6
抑制される。また、アーチ状のコンクリート構造体50が、ともにアーチ状のインナーア
ーチ構造体10とアウターアーチ構造体30とによって挟まれているため、アーチ状建築
物の外周をコンクリートで被覆する従来の構造よりも堅牢性も高い。また後で詳しく説明
するように、本実施例のコンクリート構造体50は、インナーアーチ構造体10とアウタ
ーアーチ構造体30を形成した後にアーチ間空間24に生コンクリートを充填させること
によって形成される。その場合、コンクリート打設用の型枠の設置を省略することができ
る。建築時の作業負荷も従来より小さくなる。
 【0037】
 本実施例のアーチ状建築物1は、アウターアーチ構造体30とインナーアーチ構造体1
0との間の間隔を保持した状態で両者を連結するセパレータ40を備える。セパレータ4
0によってアウターアーチ構造体30とインナーアーチ構造体10との間の間隔が保持さ
れる。アウターアーチ構造体30とインナーアーチ構造体10との間の間隔がばらつく事
態が抑制される。この結果、アーチ状建築物1をより堅牢に形成することができる。
 【0038】
 上記の通り、本実施例ではインナーアーチ構造体10の外面16とアウターアーチ構造
体30の内面38は亜鉛メッキされている。亜鉛メッキにより、コンクリート構造体50
と接触するインナーアーチ構造体10の外面16及びアウターアーチ構造体30の内面3
8の腐食が抑制される。長期間の使用時のインナーアーチ構造体10及びアウターアーチ
構造体30の劣化を防止することができる。
 【0039】
 上記の通り、本実施例ではインナーアーチ構造体10の外面16とコンクリート構造体
50との間には断熱材層20が設けられている。そのため、アーチ状建築物1を断熱する
ことができる。建築物内を夏季は涼しく、冬季は暖かく保つことができる。
 【0040】
 上記の通り、本実施例ではインナーアーチ構造体10の外面16とアウターアーチ構造
体30の内面38の間の距離は50mm以上200mm以下である。両者の距離がこの範
囲内であれば、型枠を設けることなくインナーアーチ構造体10の外面16とアウターア
ーチ構造体30の内面38との間にコンクリート構造体50を形成することができる。ま
たコンクリート構造体50に必要なコンクリートの量も少なく済む。
 【0041】
 上記の通り、本実施例のアーチ状建築物1は高い堅牢性を有する。アーチ状建築物1は
、地震や津波のような自然災害時にも十分耐えうる。アーチ状建築物1は、その高い堅牢
性を活かして、住宅のみならず自然災害時の避難シェルターとしても活用され得る。さら
に、アーチ状建築物1は、熊などの動物、不審者等の侵入、攻撃等から内部の人や物を十
分に守ることもできる。アーチ状建築物1は、害獣や治安悪化等の環境変化に対抗可能な
建物としても活用され得る。
 【0042】
 続いて図6A~図10を参照して本実施例のアーチ状建築物1の建築方法を説明する。
図6Aに示されるように、基礎2の上にインナー用パネル12を幅方向(桁行方向)に複
数個連結する。インナー用パネル12は、長手方向にアーチ状に湾曲するとともに、幅方
向に波形状に形成されている金属板製の部材である。図6Aの例では、1個のインナー用
パネル12は一枚のパネルによって形成されている。他の例では、図6Bのように、1個
のインナー用パネル12は複数枚のパネルを長手方向に接続することによって形成されて
いてもよい。各インナー用パネル12は、基礎2上に設けられるベースコネクタ(図示し
ない)を介して基礎2上に固定される。幅方向に隣合うインナー用パネル12同士は、連
結用ボルト14(図4参照)によって、アーチの内面側から連結固定されている。
 【0043】
 このようにインナー用パネル12が複数個連結されることにより、図7に示されるよう
に、基礎2の上にアーチ状のインナーアーチ構造体10が形成される。
 【0044】
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 7
 続いて図8に示されるように、インナーアーチ構造体10の外面16上に断熱材層20
が形成される。断熱材層20は、断熱塗料をインナーアーチ構造体10の外面16に塗布
することによって形成される。
 【0045】
 続いて図9に示されるように、インナーアーチ構造体10の外側に、インナーアーチ構
造体10を覆うようにアウターアーチ構造体30が形成される。アウターアーチ構造体3
0の形成方法はインナーアーチ構造体10の形成方法と同様である。即ち、アウターアー
チ構造体30は、金属板製のアウター用パネル32を幅方向(桁行方向)に複数個連結す
ることによって形成される。アウター用パネル32は、長手方向にアーチ状に湾曲すると
ともに、幅方向に波形状に形成されている金属板製の部材である。1個のアウター用パネ
ル32は一枚のパネルによって形成されていてもよいし、複数枚のパネルを長手方向に接
続することによって形成されていてもよい。各アウター用パネル32は、基礎2上に設け
られるベースコネクタ(図示しない)を介して基礎2上に固定される。図4に示されるよ
うに、幅方向に隣合うアウター用パネル32同士は、連結用ボルト34によって、アーチ
の外面側から連結固定されている。形成されたアウターアーチ構造体30の頂部には、複
数個のコンクリート流し込み穴60が設けられる。アウターアーチ構造体30が形成され
ると、インナーアーチ構造体10の外面16とアウターアーチ構造体30の内面38の間
にアーチ間空間24が形成される。コンクリート流し込み穴60はアーチ間空間24と連
通している。
 【0046】
 次に、図10に示されるように、複数個のコンクリート流し込み穴60からアーチ間空
間24内に生コンクリート51を流し込み、アーチ間空間24内に生コンクリート51を
充填させる。この際、インナーアーチ構造体10の内面18が支持材若しくは支持柱(図
示省略)によって固定されてもよい。生コンクリート51は、コンクリート流し込み穴6
0に取り付けられている筒体62(図5参照)内にも充填される。
 【0047】
 その後、アーチ間空間24に充填された生コンクリート51が固化される。その結果、
アーチ間空間24内を充填するとともに、インナーアーチ構造体10の外面16およびア
ウターアーチ構造体30の内面38に密に接するコンクリート構造体50が形成される。
 【0048】
 その後、アーチ状のインナーアーチ構造体10、コンクリート構造体50、アウターア
ーチ構造体30の開放部を閉塞するように、妻壁80、82を形成する。妻壁80、82
の少なくとも一方には出入口扉が設けられる。妻壁80、82は例えばコンクリートで形
成される。妻壁80、82が形成されることにより、基礎2の上に建築物本体4が完成す
る。これにより図1の本実施例のアーチ状建築物1が完成する。
 【0049】
 以上、本実施例のアーチ状建築物1の建築方法を説明した。本実施例の建築方法による
と、インナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30を形成した後にアーチ間空間
24に生コンクリート51を充填させることによってコンクリート構造体50を形成する
ことができる。そのため、コンクリート打設用の型枠の設置を省略することができる。建
築時の作業負荷を従来よりも小さくすることができる。また、本実施例の建築方法によっ
て完成するアーチ状建築物1では、アーチ状のコンクリート構造体50の内面と外面がイ
ンナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30とによってそれぞれ支持固定される
。コンクリート構造体50が外部に露出しない。そのため、長期間の使用時に酸性雨など
の要因でコンクリートが劣化することが抑制される。また、アーチ状のコンクリート構造
体50が、ともにアーチ状のインナーアーチ構造体10とアウターアーチ構造体30とに
よって挟まれているため、アーチ状建築物1の外周をコンクリートで被覆する従来の構造
よりも堅牢性も高い。
 【0050】
 以上、実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定する
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 8/E
ものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、
変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
 【0051】
(変形例1)インナーアーチ構造体10の外面16とアウターアーチ構造体30の内面3
8は亜鉛メッキされていなくてもよい。その場合、インナーアーチ構造体10の外面16
とアウターアーチ構造体30の内面38には亜鉛メッキ以外の任意の耐腐食処理が施され
ていてもよい。
 【0052】
(変形例2)建設環境に応じて、インナーアーチ構造体10の外面16とコンクリート構
造体50の間の断熱材層20が省略されてもよい。
 【0053】
(変形例3)建設環境に応じて、アウターアーチ構造体30とインナーアーチ構造体10
を連結するセパレータ40が省略されてもよい。
 【0054】
 また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって
技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではな
い。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、
そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
 【0055】
1:アーチ状建築物
2:基礎
4:建築物本体
10:インナーアーチ構造体
12:インナー用パネル
14:連結用ボルト
16:インナーアーチ構造体の外面
18:インナーアーチ構造体の内面
20:断熱材層
24:アーチ間空間
30:アウターアーチ構造体
32:アウター用パネル
34:連結用ボルト
36:アウターアーチ構造体の外面
38:アウターアーチ構造体の内面
40:セパレータ
50:コンクリート構造体
51:生コンクリート
60:コンクリート流し込み穴
62:筒体
80、82:妻壁
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 1/E
【書類名】特許請求の範囲
【請求項1】
 長手方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に波形状に形成されている金属板製のイ
ンナー用パネルを幅方向に連結してアーチ状に形成されているインナーアーチ構造体と、
 前記インナーアーチ構造体の外側に前記インナーアーチ構造体を覆うように配置されて
いるアウターアーチ構造体であって、長手方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に波
形状に形成されている金属板製のアウター用パネルを幅方向に連結してアーチ状に形成さ
れている前記アウターアーチ構造体と、
 前記インナーアーチ構造体と前記アウターアーチ構造体の間のアーチ間空間に充填され
ており、前記インナーアーチ構造体の外面および前記アウターアーチ構造体の内面に密に
接するコンクリート構造体と、を備える、
 アーチ状建築物。
【請求項2】
 前記アウターアーチ構造体と前記インナーアーチ構造体との間の間隔を保持した状態で
両者を連結するセパレータをさらに備える、請求項1に記載のアーチ状建築物。
【請求項3】
 前記インナーアーチ構造体の前記外面と前記アウターアーチ構造体の前記内面は亜鉛メ
ッキされている、請求項1に記載のアーチ状建築物。
【請求項4】
 前記インナーアーチ構造体の前記外面と前記コンクリート構造体との間には断熱材層が
さらに設けられている、請求項1に記載のアーチ状建築物。
【請求項5】
 前記インナーアーチ構造体の前記外面と前記アウターアーチ構造体の前記内面との間の
距離は50mm以上200mm以下である、請求項1に記載のアーチ状建築物。
【請求項6】
 長手方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に波形状に形成されている金属板製のイ
ンナー用パネルを幅方向に連結することによって、アーチ状のインナーアーチ構造体を形
成する工程と、
 前記インナーアーチ構造体の外側に、長手方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に
波形状に形成されている金属板製のアウター用パネルを幅方向に連結することによって、
前記インナーアーチ構造体の外側に前記インナーアーチ構造体を覆うように配置されるア
ーチ状のアウターアーチ構造体を形成する工程と、
 前記インナーアーチ構造体と前記アウターアーチ構造体の間のアーチ間空間に生コンク
リートを充填させる工程と、
 前記アーチ間空間に充填された前記生コンクリートを固化させることによって、前記イ
ンナーアーチ構造体の外面および前記アウターアーチ構造体の内面に密に接するコンクリ
ート構造体を形成する工程と、を備える、
 アーチ状建築物の建築方法。
整理番号:M240010JP 特願2024-116688  (Proof) 提出日:令和 6年 7月22日 1/E
【書類名】要約書
【要約】
【課題】長期間の使用時にも劣化しにくく、建築時の作業負荷も従来より小さいアーチ状
建築物を実現し得る技術を開示する。
【解決手段】アーチ状建築物は、長手方向にアーチ状に湾曲するとともに幅方向に波形状
に形成されている金属板製のインナー用パネルを幅方向に連結してアーチ状に形成されて
いるインナーアーチ構造体と、前記インナーアーチ構造体の外側に前記インナーアーチ構
造体を覆うように配置されているアウターアーチ構造体であって、長手方向にアーチ状に
湾曲するとともに幅方向に波形状に形成されている金属板製のアウター用パネルを幅方向
に連結してアーチ状に形成されている前記アウターアーチ構造体と、前記インナーアーチ
構造体と前記アウターアーチ構造体の間のアーチ間空間に充填されており、前記インナー
アーチ構造体の外面および前記アウターアーチ構造体の内面に密に接するコンクリート構
造体と、を備える。
【選択図】図1

群馬県某所 発電所メイン棟

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群馬県某所 発電所メイン棟

先月末、トンネルが完成しました。
今回の物件は当社の製造技術の集大成ともいえるべき精巧さです。
この後、エンドウォールと外部からの機械の配管穴開けをします。

群馬県某所 発電所

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幅12m、高さ7mのアーチは建て方の風景となります。
製造設計の精度も高くなりました。

楕円形アーチ成功

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アーチビルディングは正円の半分ですと高すぎてしまう場合があります。

例えば直径15mの場合、正円ですと高さが7.5mにもなります。

その高さを抑えようとしますと、正円ではなく楕円を半分にしたようなアーチ形にする必要が生じます。

しかしアメリカやカナダのメーカーは基本的に一つのアーチ形にダブルラディアス(二つの曲率)までしか組み合わせができません。

そうなりますと図下のように不自然なアーチ形になってしまいます。

それは私共にとっても輸入していた頃の課題だったのですが、自社製造によって3つ以上の円弧の組み合わせで極めて楕円に近いアーチ形の製造に成功しました。

それが図上ですが、これは3つと言わず4つもの曲率の組み合わせ、これこそがmade in JAPAN。

念のために、3つがトリプル、4つがクアドラプル、5つがクインタプルです。

神奈川県住宅仕様のストレージ・・・驚異の自製率90%!

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この物件はアーチパネルの製造から施工まで全て当社で行った日本初の実績となります。

アーチパネル、カーブアングル、ベースコネクターなど全ての製品を岐阜の自社工場にて国産JIS鋼板でフルオリジナル製造いたしました。

それに加えて鉄扉や鉄窓も既製品ではなく自社工場でワンオフ製造です。

神奈川県某市

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アーチが完済しました。
この先、エンドウォールと再度オープニングの施行となります。

神奈川県Y市ストレージ

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先日より神奈川県Y市内で組み立てを始めたストレージ。
断熱内張り付きのスペシャル仕様となります。iPhoneから送信

[祝]初の国内製造アーチ、鳥取にて完成

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マシニングを国内用にカスタマイズすること半年、ようやくアメリカ製を凌ぐアーチを製造できるようになりました。
この先も全国あちこちに続々と増えていきます。

神奈川県巨大ガレージ

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幅11m×奥行18mの巨大ガレージ、昨日より組み立て開始。

私たちMade in Japanアーチの精度は本場アメリカのアーチとは比べものになりません。